JR来宮駅で政治活動 伊是名氏

伊是名氏の計算違いか 自民・熱海市議に聞く

2021年4月14日   令和電子瓦版

 

 コラムニストの伊是名夏子氏がJRに過剰なサービスを求めた事件は、本人にとって計算違いの結果となった可能性がある。舞台となった来宮(きのみや)駅を狙い撃ちした可能性が高いのは前回記事(伊是名氏”消された動画”が語る来宮駅狙い撃ち)で明らかにしたが、JRの対応によって当初の目標が達成できず、狙っていたものに比べ中途半端なアピールになってしまったのかもしれない。伊是名氏の思惑はどのようなものだったのか、そして計算違いはなぜ起こったのか。伊東線各駅のバリアフリー化に尽力する熱海市の川口健(たけし)市議の話を交え、推理する。

 

伊東線網代駅には2017年エレベーター設置

 

伊是名夏子氏が来宮神社を目的とする来宮駅への訪問についてYouTubeライブ配信で政治目的を有していたことを明かしたと言っていい表現をしていたことは伝えた(参照:伊是名氏”消された動画”が語る来宮駅狙い撃ち)。

 ここで簡単に同駅のあるJR伊東線について触れておく。熱海駅伊東駅を結ぶ同線は、間に4つの駅がある。2015年3月8日に当該4駅はすべて無人化された(熱海ネット新聞2015年3月9日:JR来宮伊豆多賀網代駅無人化開始ほか参照)。

 しかし、熱海から3つめの網代あじろ)駅は2017年4月1日から、設置されたエレベーターが運行を開始。この設置に尽力したのが勝俣孝明衆院議員と地元熱海市の川口健市議会議員(ともに自民党)である。この点を地元メディアは「地元の川口健市議と勝俣孝明衆院議員が自民党本部、JR東日本国土交通省に要望し、2年かけて供用にこぎ着けた。」としている(熱海ネット新聞2017年4月1日:JR伊東線網代駅にエレベーター 4月1日から供用開始)。川口市議らの根気強い要望でようやく実現したのである。一方、来宮駅は階段しかないため、バリアフリー化が待たれるところである。

 こうした状況下で、現在、社民党熱海市議会に議席を有していない。この事実は重要な意味を持つので、よく覚えておいていただきたい。

 

熱海市の町づくり課「エレベーター設置予定なし」

 

 川口市議ら自民党を中心とする議員は、来宮駅のエレベーター設置にも積極的である。しかし、1日の乗降客数が少ないため実現には至っていない。バリアフリー法に基づく「移動等円滑化の促進に関する基本方針」は、1日平均の利用者数が3000人以上の鉄道駅について、エレベーターなどの設置でバリアフリー化を求めてきた。ところが来宮駅は1日平均で1133人(JR東日本の2013年度の公表統計)。これは実人数であり、熱海市関係者によると1人の乗客が1日に乗車と降車をすることを考え、2倍して2266人とカウントされるという。それでも3000人には足りず、バリアフリー化は見送られてきた。

 熱海市役所町づくり課に聞くと「現時点(取材は4月上旬)では来宮駅にエレベーター設置の予定はありません。来宮駅は施工上、東海道線がすぐ横にあり大掛かりな工事が簡単にはできないのです。そのためエレベーターの設置となると、通常よりコストがかかるという事情もあります」とのことであった。

 ちなみに網代駅のエレベーターの総整備費は2億400万円で、国、JR、熱海市がおよそ3分の1ずつ負担。熱海市の負担は6000万円だったとされる(前出、熱海ネット新聞2017年4月1日)。来宮駅に設置となると、それ以上の金額になるのは間違いない。

 そのため伊是名氏が来宮駅を訪れてバリアフリー化を求め騒ぎを起こしても無駄という考えも成立しそうである。

 しかし、情勢は微妙に変化している。

 

■改正バリアフリー法施行で、来宮駅の扱いは?

 

 2021年4月1日、改正バリアフリー法が施行。「移動等円滑化の促進に関する基本方針」も変更され、1日平均の利用者数が2000人以上3000人未満の重点整備地区内の駅にも、バリアフリー化を促すこととされた。

 来宮駅は前出のように1133人×2=2266人でバリアフリー化の対象となる。この点について川口市議は当サイトの取材に対し「今の来宮は2000人以上あります。そうなると、動き始めるかもしれません。来宮駅もできる可能性はあるわけです。もちろん、熱海市も負担するわけですから、施工上の問題で莫大な費用がかかるのであれば、そこでまた議論にはなるでしょうが」と語った。

 川口市議の言うように、法改正によって来宮駅のエレベーター設置の可能性は出てくるのである。

 

■伊是名氏が旅行した日は改正法施行日


JR伊東線来宮駅(熱海ネット新聞提供2015年3月9日公開記事)

 来宮駅バリアフリー化への動きは、これまで通り、川口市議らを中心として進んでいくことになる。法改正を受け、同市議はJRの意向を確かめている状況であるという。 そして、前出のように社民党熱海市議会では議席を有していない。社民党として具体的にJRや国に働きかけようにも、「タマ」がないのである。福祉を売りにする社民党としては、自民党がエレベーター設置に向けて動くのを指を咥えて見ているしかない。

 しかし、バリアフリー化に尽力している自党の市議がいないことで、騒ぎを起こしてバリアフリー化の遅れを世間にアピールすることのハードルは一気に低くなる。そのような騒ぎを起こすだけで社会に存在感をアピールできる上、法改正の恩恵でバリアフリー化が決定すれば(私は直前に声をあげ、問題提起をしました。その直後にエレベーター設置が決まりました)と言える。そうなれば今年2月に社民党常任幹事に就任したばかりの伊是名氏にとっては、就任直後のポイント獲得と言えよう。来宮駅で騒ぎを起こすことは常任幹事として、政治家としてマイナスにならないという計算をしていても不思議はない。

 その上で、以下の点を考えていただきたい。

・伊是名氏が旅行したのはいつか→2021年4月1日及び2日

・どうしても行きたかった場所はどこか→JR伊東線来宮駅

・伊是名氏はバリアフリー法を知っていたか→知っていた。小田原駅で同法を根拠に車椅子対応を求めている。

 改正バリアフリー法が施行された4月1日に、無人駅でエレベーターがない来宮駅へ行こうとし、同法に基づいて車椅子対応を求め、一連の騒ぎをメディアに取材させる。

 さらに消された動画で「そう(騒ぎを起こす等)でもしないと考えてもらえなくて」、「無人駅になって、もう数年経っていて、今日無人駅になったから考えられませんでもない」と発言。政治目的で行ったと思われる点について状況証拠は「真っ黒」で、たまたま来宮駅を旅行先に選んで行ったとは考えにくい。

 川口市議に一連の伊是名氏の騒動について感想を聞くと、「普通であれば熱海駅で降りればいい話です。それをわざわざ来宮駅ということですから、何か意図があるのかなと思いました」とのことであった。

 

■伊是名氏の計算違い 回避された「乗車拒否」

 

このように、伊是名氏はたまたま旅行に行ってトラブルに巻き込まれたのではなく、最初から改正バリアフリー法の施行のタイミングを見て来宮駅を狙い撃ちにした可能性は高い。しかし、結果的に多少の計算違いがあり、満足のいく結果にならなかったように思われる。

 ここから先も僕の勝手な推測である。伊是名氏の本来の狙いはJRに乗車拒否をさせることにあったのではないか。もし、熱海駅長が来宮駅まで行く決断をしなければ、伊是名氏は熱海駅でタクシー等を利用するしかない。まさにブログの記事の見出しにあるような「乗車拒否」となり、象徴的な出来事としてJRを批判できる。しかも改正バリアフリー法施行の日でもあり、「法律は改正されたのに、現実は何も変わらない。来宮駅バリアフリーになっておらず、駅員も対応してくれなかった」という攻撃ポイントも設定が可能。

 ところが、熱海駅長が3人の駅員を連れて来宮駅まで案内したことで、車椅子利用者が行くことができない来宮駅に行くことが実現してしまったのである。駅員が待っていたことについて、伊是名氏はブログに「熱海駅に到着。すると駅員4人が待っている!」と感嘆符を用いて驚いた様子を書いており、想定外だったことを窺わせる(コラムニスト伊是名夏子ブログ:JRで車椅子は乗車拒否されました)。この事態は、ブログに予定していた「乗車拒否」というキーワードを使いにくくすることを意味する。

 では、どのようなキーワードが使えるだろうか。「不親切な対応」「1時間も足止め」「乗りたい電車に乗れず」などが考えられるが、どれもパンチが弱い。そうなると、小田原駅で一度は「案内できない」と言われたから「乗車拒否」という言葉も間違いではないという結論に達したのではないか。

 当然、JRは取材に対して「乗車を拒否する意図はない」と答える。実際、目的地まで乗車させているのであるから、否定するのは当たり前の話である。(朝日新聞GLOBE+:「乗車を拒否する意図はない」JR東が強調 電動車いす利用者への対応問題)。もし、熱海駅長が対応しなかったら、JRは「乗車拒否」という攻撃に苦しい対応を続けていたことが予想される。そう考えると熱海駅長の決断が組織を守ったと言っていい。

 この点について、川口市議は興味深い事実を明らかにした。「車椅子の方が来ると、JRは結構、大変です。自分たちのバリアフリーのアピールも含めて、普段から大掛かりな対応をします」。伊是名氏はこのようなJRの姿勢を読み切れず、本来なら実現するはずがない、実現しないことを期待していたサービスの要求が受け入れられてしまうという計算違いの事態が発生したのではないか。

 乗車拒否を期待していたのに、乗車させてもらえたためにJRの手厚いサービスに対しても感謝の言葉が出なかったと考えると、伊是名氏の一連の傲慢とも思える態度も想像の範囲内に落ち着く。

 

■政治活動であれば許されない行為

 

 いずれにせよ、伊是名氏が一連の行動を政治活動の手段として行ったのであれば、許されざる行為と言うしかない。社民党の政治主張のために、何の関係もない熱海駅長以下4名は2日間に渡って無人駅まで往復し、100kg前後の電動式車椅子を運ぶという危険な業務を負わされたことになる。JRとしても勤務時間に4人が長時間抜けることで、業務に影響が出なかったとは断言できない。

 社民党は身内を庇っている場合ではない。一刻も早く真実を明らかにし、国民に納得のいく説明をすべきである。

 

伊是名氏の計算違いか 自民・熱海市議に聞く | 令和電子瓦版 (reiwa-kawaraban.com)

 

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