中国の宇宙ステーション「天宮」建設開始 2021.5.5

ついに大型宇宙ステーション建設が始まった

2021.5.5

中国の宇宙ステーション「天宮」の建設が、ついに開始されました。

 3つのモジュールからなるこの大型宇宙ステーションは4月29日、最初のコアモジュール「天和」の打ち上げに成功し、地球を周回する低軌道へ投入。早くも来年2022年に完成する予定です。

 今回は宇宙ステーション「天宮」のアウトラインを解説し、驚異的なスピードで進行する中国の宇宙開発を検証します。

 

中国の宇宙ステーションは軍用? 平和利用?

 

 中国の最新型ロケット「長征5号B」によって、文昌衛星発射センター(中国最南端の島にある宇宙基地)から打ち上げられたコアモジュール「天和」は、クルー3名が長期滞在できる基礎居住区であり、全長は16.6m、最大直径4.2m、質量22.5トン。ここにふたつの実験モジュール「問天」と「夢天」が接続されれば、中国の宇宙ステーションとしては過去最大のものとなります。

中国の大型宇宙ステーション「天宮」の完成イメージ図。主に3つのモジュールで構成される(CMSA / UNOOSA)

中国の大型宇宙ステーション「天宮」の完成イメージ図。主に3つのモジュールで構成される(CMSA / UNOOSA)

 

 上イラストにおいて、中国国旗が掲げられているのが今回打ち上げられた「天和」、そこから左右に接続しているのが実験モジュール「問天」と「夢天」です。さらにこのイラストには、「天和」の先端(イラスト右)に無人補給機と、ステーション下部と後方には有人宇宙船2機がドッキングする様子が描かれています。

 かつて旧ソ連が1970年代に打ち上げた軍事用宇宙ステーション「アルマース」には機関砲が搭載されていましたが、この「天宮」はISS国際宇宙ステーション)と同様、研究を主目的とした平和利用のためのステーションで、その運営には国連宇宙局も協力体制をとっています。実験モジュールは国連加盟国にも開放される予定で、2019年6月には実験に参加する研究機関が選定され、そこには東京大学も名を連ねています。

 

ISS退役で、低軌道上にある唯一の宇宙ステーションに?

 

 中国が宇宙ステーション「天宮」を打ち上げるのは、これで3機目です。

 最初に打ち上げたのは「天宮1号」(2011年)で、有人宇宙船「神舟9号」、「10号」とのドッキングにも成功しています。しかし、2016年3月に制御不能な状態に陥り、落下地点が予想できない状態のまま南太平洋に墜落。世界を恐怖に陥れたこの事件は大きく報道されました。

 2016年9月には、1号と同型の「天宮2号」が打ち上げられ、そこに有人宇宙船「神舟11号」がドッキングし、クルー2名が33日間に渡って滞在しました。

これらの2機は、1971年に旧ソ連による世界初の宇宙ステーション「サリュート」や、1973年に米国が打ち上げた「スカイラブ」と同様に、大型ロケットの第三段をそのまま軌道上に乗せる単体モジュール型のステーションでした。しかし、複数のモジュールを軌道上で結合していく今回の「天宮」は、与圧区画が広く、研究設備が豊富に搭載でき、クルー滞在期間も長く、その有用性は格段に向上しています。

 ISSは2024年に民営化され、その数年後に運用停止・制御落下されますが、その後、地球周回軌道上にある宇宙ステーションはこの「天宮」だけとなる可能性もあります(※)。

 ※米国の民間企業であるアクシアム・スペース社が、ISSへの追加モジュールを2024年に打ち上げ予定。ISS退役後、そのモジュールが単独で宇宙ステーションとして運用される計画も進められています。

 

中国を牽引したロケット王、銭学森

 1950年代以降、米ソ間で激しい宇宙開発競争が繰り広げられましたが、その中心的役割を果たしたのが、ドイツから米国へ亡命したヴェルナー・フォン・ブラウンと、旧ソ連セルゲイ・コロリョフという、ふたりのロケット開発者でした。同時期、中国にもやはり天才技術者が存在し、毛沢東に「ロケット王」と呼ばれた銭学森(せん・がくりん)は、1950年代から中国の宇宙開発を主導しました。

 1930年代にマサチューセッツ工科大学に学び、その後、カリフォルニア工科大学で博士号を取得した銭学森は、1936年、現在ではNASAの中核組織として知られるJPL(ジェット推進研究所)を、仲間とともに同大学内に創設。その後、米国初の弾道ミサイルの基礎開発に従事し、原爆開発に成功した「マンハッタン計画」にも参加。終戦を迎えた1945年のドイツで、米軍に投降したフォン・ブラウンを最初に尋問したのも銭でした。

 その後、朝鮮戦争(1950~53年)で拘束された米国人捕虜と引き換えに、中国への帰国を許された銭は、中国初の本格的国産ロケット「長征1号」の開発に着手します。このロケットよって1970年、中国初の人工衛星東方紅1号」の打ち上げに成功。今回の宇宙ステーション「天宮」の打ち上げに使用された「長征5号B」も、この銭学森の思想を受け継ぎ、発展させたロケットなのです。

 

世界から排除され、独自路線を突っ走る

 

1990年代に米ソ冷戦が終わると、米国とロシアは膨大な予算を必要とする宇宙開発において協調路線をとり始めます。当時、軌道上に唯一あったソ連の宇宙ステーション「ミール」を、スペースシャトルが支援する「シャトル・ミール計画」(1994年)は、その中核となるプロジェクトであり、ソ連崩壊直後で財政難に苦しむロシアは、シャトルによる人員や物資の輸送支援を受け、一方米国は、クルーの長期滞在やステーション運営に関するノウハウをロシアから学びました。この両国による協調体制が後年、その他13ヵ国が加盟する国際宇宙ステーション計画(1998年建設開始)へとつながるのです。

 中国もISS計画への参加を米国に打診しましたが、中国参加に反対する加盟国があったため、米国がこれを却下。そのため中国は、劇的に発展しつつある経済力を源として独自開発路線を突き進みます。その結果、2003年には独自に有人宇宙飛行を成功させ、2011年には中国初の宇宙ステーションを打ち上げ、2020年9月には中国版スペースシャトル(再使用型宇宙船)の無人テスト打ち上げにも成功したと報道されています。

  そして今回、大型宇宙ステーションの建設を開始した中国。有人宇宙探査におけるこうした中国の急速な開発は、1950年以降の米ソに匹敵し、両国を追随するものとして、いま世界から注視され、畏怖されています。

 

ロシアと中国、月面基地建設で調印

 

 しかし近年、宇宙開発をめぐる大国間のこうしたバランスシートが大きくシフトしはじめています。

米国は現在、ヒトを月や火星へ送り込むアルテミス計画を推し進めていますが、その一環として、月軌道を周回する宇宙ステーション「ゲートウェイ」の建設が2024年から予定されています。しかし、それに参加予定だったロシアは、「米国の意向が強すぎる」として2020年に当計画から離脱。一方、2021年4月26日には、中露の宇宙開発機関である中国国家航天局とロスコスモスによって、「国際月科学研究ステーション」の共同建設に関する声明(覚書)が発表されたと新華社通信が報じました。この月面基地は、2030年に建設が開始される予定です。

 米中においては政経両面で激しい対立が続き、ロシアはクリミア半島(2014年)やウクライナ(2017年)で発生した問題以降、西側諸国から経済制裁を受けています。

 米国をしのぐ開発力とノウハウを持つロシアと、急速に力をつけている中国。西側諸国から敬遠されがちな両2大国が宇宙開発においてタッグを組むことにより、一時代前の国際バランスに立ち戻ることを世界が警戒し、憂慮しています。

 

【宇宙開発のボラティリティ】世界が排除した中国の「底力」 ついに大型宇宙ステーション建設が始まった (1/3ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト

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中国、大型ロケット「長征5号B」の初打ち上げに成功 

破片の一部は西アフリカに落下?

2020年5月19日

 

 中国は5月5日、将来の有人宇宙船や宇宙ステーション打ち上げ用に開発していた大型ロケット「長征5号B」の初打ち上げに成功した(人民網、Sorae)。

 長征5号Bは2016年に打ち上げられた長征5号の増強版で、低軌道に25tの打ち上げ能力を持つ同ロケットの最大構成となるバージョンである。1段半型とも言われる構成となっており、小型の2段目の代わりに大型のコアステージを用いることで、従来よりも大きなペイロードを確保しているという。今回の打ち上げでは、同じく開発中の次世代有人宇宙船の試験機が搭載され、この試験機も8日に地球帰還を果たすなど、ロケット・宇宙船双方ともミッションを達成したようである(人民網のカプセル回収記事)。

 一方で、重さ17.8tもの大型のコアステージが軌道上で切り離される仕組みから、打ち上げ当初から残骸が燃え尽きずに地上に落下するのではとの懸念が報じられていた。実際に5月11日にコアステージが大西洋上で大気圏再突入を果たすと、その進路上にあった西アフリカのコートジボワールでは、長さ10mや50kgの金属管が落下して一部が民家の屋根に刺さる被害が出たと報じられている。中国は来年以降、独自の宇宙ステーション建設のために長征5号Bを複数回打ち上げることを計画しているが、この問題が対処されるのかが騒動となるかもしれない(Sorae、GIGAZINESlashdot)。

中国、大型ロケット「長征5号B」の初打ち上げに成功 破片の一部は西アフリカに落下? | 財経新聞 (zaikei.co.jp)

 

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落下した金属管

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中国の大型ロケット、制御不能状態で大気圏突入へ 米国防総省が追跡

2021.05.05 CNN

ワシントン(CNN) 米国防総省は、制御不能になった中国の大型ロケット「長征5号B」がこの週末にも大気圏に再突入するとみて、追跡を続けていることを明らかにした。残骸の落下地点をめぐる懸念も浮上している。

国防総省報道官の発表によると、長征5号Bは8日前後に地球の大気圏に突入する見通しで、米宇宙軍が軌跡を追跡している。

正確な突入地点は数時間前になるまで特定できない見通しだが、第18宇宙管制隊はロケットの位置に関する最新情報を毎日ウェブサイトに掲載する。

長征5号Bは、中国が宇宙ステーションの部品の打ち上げに使用した。宇宙ごみは大半が大気圏で燃え尽きる。しかし22トンもある長征5号Bの場合、大型部品が人の住む場所に落下すれば被害が発生する恐れもある。

しかし米ハーバード大学の宇宙物理学者ジョナサン・マクダウェル氏はCNNの取材に対し、「警戒すべき状況だとは思わない。何らかの被害が生じたり、誰かに当たったりするリスクは非常に小さい。皆無ではなく、可能性はあるが、あなたに当たる可能性はものすごく小さい」と指摘、「それよりももっと心配すべきことはある」と言い添えた。

ロケットの現在のスピードを考えると、残骸がどこへ向かうかを正確に予測することは不可能だとマクダウェル氏は説明する。状況がほんの少しでも変われば、ロケットの軌跡は大きく変化する。「だから『この場所に落ちるらしい』という話を聞いたとしても、少なくとも突入の数時間前までは、その話を信じてはいけない」と同氏は強調した。

その上で、ロケットの残骸は地球の表面の大部分を覆う海に落下する可能性が最も大きいと予想している。

 

CNN.co.jp : 中国の大型ロケット、制御不能状態で大気圏突入へ 米国防総省が追跡

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