北京・冬季オリンピック直前のいま、記者たちが怯える「黒いウワサ」 嘘でもなさそう 2022.1.15

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gendai.ismedia.jp

2022.01.14

気に食わないヤツは拉致して、黙らせればいい。マフィアまがいの行為が中国では横行しているという。目をつけられた人物は、社会的に抹殺される。こんな恐ろしい国で五輪は無事に行われるのか。

 

2月4日、中国で北京冬季五輪が開幕する。

欧米をはじめとする各国首脳は「外交ボイコット」で訪中しないが、「スポーツの祭典」を取材するために各国の記者は大挙して北京に押し寄せるはずだ。だが、日本人記者の中にはこんな不安を抱いている人間も多い。

はたして無事に戻って来られるのだろうか、と。

中国に駐在する日本の大手紙記者が明かす。

「スポーツ取材しかしない運動部の記者は大丈夫でしょうが、応援で駆り出される社会部などの記者はせっかくの機会なので、コロナ下の北京を取材したいはずです。

しかし、どこまで取材できるのか。万が一、スパイ容疑で拘束されると何年も日本へ戻れないおそれがあります。とくに保守系メディアの記者は、当局の虎の尾を踏みやすいのではないかと、恐れ慄いています」

これはジョークではない。中国は'14年に「反スパイ法」を施行し、外国人の取り締まりを強化している。これまでにスパイ容疑で15人もの日本人が拘束された。もちろん、何がスパイ行為に当たるかの判断基準は当局次第。記者たちが本気で怯えるくらい、中国では簡単に人が消える。

 

新型コロナ発生のときもそうだった。'19年末にいち早く中国・武漢で原因不明の肺炎が広がっていると警鐘を鳴らした李文亮医師も「デマを広めている」と当局に処分され、'20年2月にコロナに感染して亡くなった。

'21年12月10日には、元弁護士で人権活動家の唐吉田氏が消息を断った。「世界人権デー」に合わせて北京で行われたイベントに参加しようと外出したときから連絡が取れなくなっているという。

中国の研究者で、唐氏と家族ぐるみの付き合いのある東京大学教授の阿古智子氏がこう話す。

「唐さんの娘は日本に語学留学中でしたが、連絡が取れなくなり、4月末に自宅で倒れているところを私が発見しました。結核と診断され、現在も意識不明の重体です。父親の唐さんは一刻も早く来日して娘の看病に訪れたいのに、中国当局から何度も足止めされて出国することが叶いません。

そんななか、12月10日以降、唐さんと連絡が取れなくなったので、大変心配しています」

唐氏は弁護士として、社会的な弱者の弁護を引き受けてきた。しかし、'10年に当局から弁護士資格を剥奪され、翌年には民主化運動を呼びかけたとして約1ヵ月間、当局に拘束され、拷問を受けた。'16年には何者かにバイクで轢かれ、大腿骨骨折の重傷を負った。

中国の「その筋」にとって、体制に逆らった人間を社会的に抹殺して壊すことなど朝飯前なのである。英紙フィナンシャル・タイムズのギデオン・ラックマン氏も自らの体験をこう語る。

「私は'14年のダボス会議で、中国国営中央テレビの有名な若手キャスター・芮成鋼氏と知り合いになりました。芮氏は北京に来たら、ぜひ自分を訪ねるように誘ってくれた。しかし、その機会は訪れませんでした。

その年の夏に彼が汚職容疑で当局に逮捕され、二度と公の場に姿を現していないからです。翌年のダボス会議で彼の同僚に何があったのか尋ねたら、その人は顔をこわばらせて、立ち去ってしまいました」

 

米誌フォーブスが'11年に、中国共産党が発行する英字紙チャイナ・デイリーの記事を分析したところ、8年間で72人の億万長者が不慮の死を遂げたという。そのうちの15人は殺害され、7人が事故死し、14人が死刑になり、19人が病死した。

「民主国家では、ビジネスでの成功はその後の人生の安泰を意味しますが、中国ではたとえ成功したとしても、人生は常に不安定です。

少しでも共産党の脅威と見なされたり、体制のマイナスにつながると考えられたりすれば、『暗黒の世界』に投げ込まれ、戻って来られません。政府の権限は絶対的で、法律などあってないようなもの。それが中国なのです」(ラックマン氏)

 

欧米が問題視するのがウイグル人に対する「ジェノサイド」(民族大量虐殺)」疑惑だ。新疆ウイグルには1000ヵ所の「強制収容所」が設置され、少なくとも100万人のウイグル人が収容されているとされる。

中国を代表する女子テニス選手、彭帥氏も「暗黒の世界」へと姿を消した。彭氏は張高麗前副首相に性的関係を強要されたと中国版ツイッター、微博に書き込んだため、世界的なスキャンダルに発展。今も本人は公の場に姿を現していない。

「彭さんが失踪してから、共産党系の雑誌、環球時報の編集長が『彼女は安全に生活している。そっとしておいてほしい』と話したり、中国国際テレビが〈私は安全だ〉という彭さん本人のものとされるメールを放映したりしています。

また、IOC国際オリンピック委員会)のバッハ会長がテレビ会議をする様子も報じられました。しかし、本人の発言は一切出てこない。彼女が本当に自分の意志でやっているのかは確認のしようがないのです」(東京大学教授の阿古智子氏)

一体なぜ、中国がここまでの状態に陥ってしまったのか。その背景を後編の「逆らえば消される…いま中国で起こっている「洗脳」と「監視」のすべて」で明らかにする。

週刊現代』2021年12月25日・2022年1月1日号より

 

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